寒い季節になると膝や腰、肩などの関節痛に悩まされる人が多くなります。寒さで血行が悪くなって筋肉が強ばってしまうために、関節がスムーズに動かせず、痛みを伴います。また関節が痛むと身体を思うように動かすことができず、毎日の生活に支障をきたすこともあるでしょう。「年齢のせい」、「毎年のこと」などと思いがちですが、必ずしもそうとはいえません。痛みの原因や効果的な予防対策について考えてみましょう。
■痛みの原因を知ること
一口に関節痛といってもその原因はさまざまで、同じような痛みでも対処法は異なります。原因がわからないままやみくもに湿布薬などを貼っても、一時的な緩和以上の治療効果は期待できず、場合によってはかえって悪化を招くことがあります。関節の痛みや強ばり、腫れなどを感じたら、まずは整形外科を受診して、診断、また予防対策についてのアドバイスを受けるのが賢明です。
■原因は多様
関節痛の原因で最も多いのは、「変形性関節症」と「関節リウマチ」。そして最近では無理な運動をして関節障害を起こす中高年も増えています。これらのほかには、「化膿性関節炎」や「痛風」、「肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)」などが、痛みの原因となっていることもあります。
全般性不安障害の症状悪寒
【変形性関節症】
関節のクッションである軟骨が、加齢とともにすり減ったり欠けたりすると、体がそれを修復しようと働きます。しかしすり減って狭くなった関節に正常の状態では修復できず、開いている隙間に異常軟骨や骨棘として増殖します。 関節はもともと関節包という袋に包まれ、「滑膜」という膜で内張りされていますが、異常増殖した軟骨や骨、欠けた骨のかけらなどが滑膜を刺激し、炎症を起こして痛みを感じるようになるのです。また、滑膜は関節の潤滑油である関節液を分泌する働きもします。炎症が起きると有害物質を排除するために、その分泌がいっそう促進され、過剰となった関節液は関節内に溜まり、いわゆる「水が溜まった」状態となるわけです。
こういった症状が最も多く見られるのは膝関節。膝は常に身体の重さを支え、歩行時には体重の数倍もの重みがかかるので軟骨が傷みやすく、さらに加齢による筋力の低下も膝への負担を大きくします。初期段階では湿布薬で痛みが解消されることが多く油断しがちですが、いったん変形した軟骨は元には戻りません。何年もかけて徐々に悪化して、やがて歩行が困難になります。一度でも関節のこわばりや痛みを感じたら、まずは整形外科で受診しておきましょう。
変形性関節症を扱う診療科がある病院
【関節リウマチ】
リウマチとは過剰な免疫反応によって分泌される化学物質が、自分自身を攻撃する膠原病の一種で、このうち関節の軟骨を破壊するものを「関節リウマチ」と呼びます。指や手の関節から起こることが多く、進行すると痛みや腫れがひどくなり、指が変形するなどして日常生活に支障をきたすことがあります。
十代の自傷自傷および切断の統計情報
30〜50代の働き盛りの世代に発症が多く、特に女性患者が全体の7〜8割を占めています。罹患すると一生つきあうことになり、重症になると重度の変形、最終的にはまったく動かせなくなる例もあります。
またリウマチの場合は関節の症状だけでなく、シェーグレン症候群、間質性肺炎、心膜炎、胃潰瘍といった合併症の併発も知られています。
できるだけ早期に発見して、関節リウマチの専門医の治療を受けることが大切なので、起床時などに手足の指のこわばりや腫れ、痛みを感じたり、原因不明の微熱や倦怠感が続いたりする場合はすぐに受診してください。まずは手の異常ということで整形外科で相談するのがよいでしょう。自己免疫疾患を起こしやすい体質は遺伝する可能性もありますので、親族にリウマチ、膠原病にかかった人がいる場合は、医師にその旨を伝えてください。血液検査でリウマチと診断されたら、リウマチの専門外来を受診する必要があるでしょう。
リウマチ・膠原病を扱う診療科がある病院
【化膿性関節炎・痛風・肩関節周囲炎】
化膿性関節炎
「化膿性関節炎」は関節内に、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌などの細菌が入り込んで化膿する病気なので、全身のどの関節にも起こる可能性があり、悪化すると関節だけでなく周囲の骨まで破壊される恐れがあります。
風邪のような全身の倦怠感、悪寒だけでなく、関節が熱を持って赤く腫れ、痛みが徐々に強くなるといった症状が現れたら、一刻も早く整形外科を受診してください。
化膿性関節炎を扱う診療科がある病院
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痛風
食物から摂取したプリン体を代謝する際の副産物である「尿酸」の量が多量となったとき、血中に溶けきれなくなったぶんが結晶化して関節に溜り、激しい痛みを生じる病気。体質によっては症状が出ない場合もあります。症状としては体温の低い足の親指付近に起こる例が多く、赤く腫れあがって痛むというのが最も典型的なケースです。プリン体を多く含む食物(ビールが最もリスクが高いといわれている)は要注意です。
痛風を扱う診療科がある病院
肩関節周囲炎
いわゆる「四十肩」「五十肩」と言われる症状です。
加齢によるものと一言でくくられがちですが、原因は「関節ネズミ」といわれる、骨・軟骨片などの関節内遊離体が関節内を移動する際にひっかかり、停留して周囲に刺激を与え、炎症を起こして痛みを生ずる、という仕組みが知られています。
過去の怪我による遊離体が年数を経てから症状を出した場合、四十肩、五十肩として扱われることになります。腕を上げる、背中に手を回すといった動作が困難になり、痛みを伴います。中には眠れないほどの強い痛みに悩まされる人もいます。
関節内遊離体は激しいスポーツや、繰り返し負荷を与えるといったことで起こる物理的な異常ですので、根治治療には手術が一般的とされています。
肩関節周囲炎を扱う診療科がある病院■関節痛を予防する生活4カ条
予防するためには、日常生活に気をつけて、関節にできるだけ負担をかけないこと、さらに関節の老化を抑えることが大切です。
<その1:冷やさない>
関節を冷やすと血行不良や筋肉などの強ばりを招いてしまいます。暖かい下着をつける、膝や肘などにサポーターを巻く、カイロを使うなどして、冷えには十分に注意してください。また、ぬるめのお風呂(38〜40℃)にゆっくりとつかって、身体を芯から温めるようにすると、血行の改善に効果的です。
<その2:適度な運動>
ストレッチやウオーキングなど適度な運動で関節の柔軟性を保ちながら周囲の筋肉を鍛えることは、とても有効な予防対策です。運動を習慣にすることで、膝関節に大きな負担をかける肥満を予防することにもつながります。
ただし過度の運動は逆効果。スポーツや外出の際は、底のしっかりとしたクッションの良い靴を選ぶか、靴の中敷を使って、足腰への負担を軽減しましょう。
<その3:姿勢・動作に注意>
長時間同じ姿勢を続けると、筋肉の強ばりなどを招いて関節痛の原因になります。特にデスクワークの時間が長い人は要注意。意識して休憩を取り、椅子から立ち上がって軽いストレッチをするといった工夫が必要です。
また、畳の上での正座など、膝の関節を90度以上に曲げる姿勢や動作は膝に大きな負担がかかります。トイレはできるだけ洋式を使い、椅子やソファ、ベッドの高さを、立ち上がりやすいように調節しましょう。
<その4:栄養バランスを考える>
体重が増えると足腰の関節に大きな負担がかかるので、食べ過ぎにはくれぐれもご用心。関節の健康に役立つ良質のたんぱく質(大豆製品、卵、乳製品、魚介類など)のほか、カルシウム、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、軟骨を丈夫にするといわれるビタミンCを始め、ビタミン類、ミネラルをバランス良く摂れるように食生活を工夫しましょう。
一方、最近は軟骨の主成分の材料となるグルコサミンやコンドロイチンをサプリメントで摂取する人も少なくありません。ただし、サプリメントは関節痛対策のあくまで補助。医師による診断と適切な処置を受け、生活習慣の改善に取り組んだ上で使うものと考えてください。
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